サラ市にあるサラ城(スイス ローザンヌ)にとっての名誉となる来訪を日本(原、japon)の大家である西垣正信が行った。三度目である。
彼は最初の人生を僧堂で、その宗教的な雰囲気のなかで過ごした。
そして、この経験が彼の生き方に厳格さと並外れた意識の覚醒をもたらしたのだろう。
生まれもった特別な感覚で、彼はひとつのギターのなかに
彼の感情の表出と、彼の望む完成とハーモニーの夢との調和を見出したのである。
西垣正信は現実に・・この惑星で最も偉大な演奏家のひとりだと、断定できる。
にっぽん(原、Nippon)の大家が古風なギターで演奏した大バッハのリュートのための4つの組曲は、
そのうちの二曲第三番と四番をライプツィヒの楽長自身(訳注、バッハの事)がチェロとバイオリンのために編曲したことで知られる。
この演奏家西垣はまったく信じられない手法で、音響に親密さと構造をつくりあげた。ピアニッシモは鳥の羽のように聴衆を旅に誘った。
音を祈りの言葉としてつま弾きながら、対位法(コントラプアン)の世界の発展を調和(ハルモニ)の融合にまで達する事で、
楽譜なしにそれらの全作品を瞑想の世界に変容させた。
最後に演奏家は、同市の「春の音楽祭」のために彼自身が作曲した「サラ城」という題名の作品を弾いた。
今では、この作品はヴィラロボス国際コンクールの最終課題曲とされている。
時によりバラライカやマンドリンにのように歌いながら、彼の音は、私達の故郷を描く印象派の絵にあるヴノージェ川に沿って優しく流れた。
公園の木々の間を過ぎる風のざわめきを聞きながら。
激しい感情から透明な世界まで・・・、熱心な聴衆にさらなる歓喜をもたらし、アンコールを強く彼に求め、それに二度応えた。